音楽に流れる命の輝き
私は世田谷区に住んでいるが、ちょうど家の前が区立中学校で、朝ねむい目をこすりながら家を飛び出すと、その中学校から合唱が響いてきた。「あ、そうか校内合唱コン クールの季節で、朝早くからがんばって練習しているのだ」何か嬉しくなり、私も頑張らなければと、気持ちが引きしまる。中学生や高校生が合唱コンクールに情熱を燃やし、皆で力を合わせている姿は、私も何度も経験し、指導もしてきたが、本当に感動的なのである。合唱を通してクラスの心がひとつになり、40人前後の生徒が美しいハーモニーを生み出した時、そこには強 い絆が芽生える。学校生活の中で思い出に残る行事の一つであ る。
平混も音楽鑑賞教室で、小学・中学・高校生の 前で歌うことがある。合唱コンクールのプログラムの中での招 待演奏で、ということも多い。反応がストレートで、目を輝かせて聴いてくれるので、歌っていてとても楽しい。時には彼らと の合同合唱で、胸が熱くなるときもある。
一般に、学校の鑑賞教室でのプロと言われている団体の演奏には
実は手抜きが多い。私もかつて吹奏楽やオーケストラの一員としてクラリネットを吹いていたが、音楽鑑賞教室となると、どうもいつもの緊張感が薄れ、内容が乏しくなる。多感な生徒たちにこそ、熱の入ったすばらしい演奏を聞かせなければならないのに。
そんな反省も込めて、平混は音楽鑑賞教室には力を入れている。選曲にはその年の各学年の校内コンクールの課題曲を、というリクエストもあり、それが例えレパートリーにない曲でも必ず暗譜で演奏する。私たちこそ彼らに学ぶことは多くあるし、校内合唱コンクールこそ、合唱をやる上での原点なのだから。
音楽(合唱)は、その時代の柔軟な心と新鮮な輝きを持っていなければ、その音楽に流れる命の輝きを表現することはできない。今回リリースの平混の新しいCD「ときめく命」は、そんな平混の心を凝縮したものであり、必ず皆様にその心をお伝えできると思う。
また、これまでのCDはすべてライブ録音であったが、今回はこのCDのための新しい録音である。(普段の演奏会ではあまりお聴きいただく機会のなかった、音楽鑑賞会のプログラム中の曲も今回は入れさせていただいた。)ぜひ、皆様に聴いて頂きたい。