「MY WAY」青島広志先生 メッセージ

■長く聞き継がれて行きますように...。

作曲家:青島広志



平松混声合唱団が、7枚目のCDを出すことになった。実はこれは、わが国では珍しいことなのである。とくに自ら「アマチュア」と名乗っている合唱団にとっては!

今ここに「アマチュア」と書いたけれど、その実力は群を抜いていた。もともとわが国はプロの合唱団が機能していず、多くの初演曲はアマチュアに委ねられて来たのだが、平松混声合唱団はまず、演奏は全て暗譜という建前がある。また全員がソリストを勤められる実力の持ち主である。さらに協力者として、得がたい作曲家・編曲者・ピアニストが名を連ね、この新しいCDにも参加していることだ。そして極め付けなのは指揮者であり、その名が示すとおり合唱団の「顔」である平松剛一先生が、この度始めて編曲者としての作品を世に問うたことである。合唱指揮者が合唱パートを編曲することはよくあるが、ピアノパートになると適当にお茶を濁す例が不幸にして見られるのに、ここに収められた二曲については、全く非の打ちどころのない見事な書き方を示している。

筆者が関係しているTV番組「世界一受けたい授業」で合唱団が必要になったとき、まず始めに頭に浮かんだのが平松混声合唱団で、息の短いテレビの仕事を、それこそ前日に出来た楽譜を暗譜し、当日即席で付けられた振付を覚えてしまえる合唱団は、他には考えられなかった。これは、現在も週三日は定期練習、本番直前には臨時の稽古が組まれ、団員が一丸となって邁進するという姿勢が、これを実現しているのであろう。他のアマチュア合唱団には薬にしたくても無い、使命感の強さが感じられるので、筆者を含め、何人もの作曲家や演出家から求められているのである。

CDについても、聞くだけで楽しく、誰かにプレゼントにしたくなるような、全く押し付けがましさのない自然な仕上がりとなっている。合唱の世界では、ある指揮者の傘下のメンバーだけで、演奏会のたびに集まっているのが普通だが、平松混声合唱団には、全くのフリのお客さんばかりなのである。それは過去6枚のCDがどれも好評であることも裏付けの一つであろう。このCDが、世代を超えた多くの方々に、長く聞き継がれて行きますように...。

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